「読者」を想定して書く
昨日は、久しぶりに文芸部に顔を出した。
先日発行された部誌に作品を載せたので、その合評会だったのだ。
ちなみに掲載した作品とは、こちら「Sleeping」である。
久しぶりに、自分の作品へのコメントを複数人からいただいくことができた、有意義な時間であった。
そこで自分の創作に足りないものは何か。
あるいは自分に限らず、創作において重要なものは何かを考えた時、気が付いたことがある。
「多様な読者を想定して執筆しなければならない」
今日はこの点において、2つの疑問からお話していく。
なぜ読者を想定するのか?
そもそもなぜ読者を想定する必要があるかと言えば、作品を発表するからである。
鍵付きの日記帳に書くのでもなければ、作品はおおむね発表される。
小説賞であったり、投稿サイトであったり、はたまた同人誌であったり。
作品を提供する人がいれば、当然享受する人もいる。
何らかの形で作品を発表しようと考えている限り、読者を想定することからは免れないのである。
そして読者を想定したら、読みやすい工夫やわかりやすい表現を心がけなければならない。
あえて読みにくい、わかりにくい文章を書くというのも手法の一つではある。
しかしそれは読み慣れている人や、読みにくい文章を好む読者にしか読まれない。
多くの読者は、自分が読みにくいと感じたり、わからないと思ったら読むのを止めてしまう。
せっかくの作品なのだから、一人でも多くの読者に届いたほうが嬉しいだろう。
もちろん、読者に媚びを売ったり、自分の信念を曲げてまで書く必要はない。
ただ、不必要に難解な語句を用いたり、作中での説明を省いたりしないように気を付ければよいのである。
なぜ「多様な」読者なのか?
「読者」とはいわゆるターゲットである。
作品を商品と考えた場合、読者は売り込みたい層のことになる。
ライトノベルは若者向け、TL小説は女性向けなど。
投稿サイトではジャンル設定されていることが多く、ファンタジーや恋愛、ミステリーなどそれぞれのジャンルを好む読者向けだ。
上記のような場合、ほとんどはターゲットとなる読者が、レーベルやジャンルによって興味のある作品を選択する。
そうすると、例えば、ミステリーを好きな読者が読むため、密室トリックの難しさの説明は長々と必要ないし、伏線も意図的に拾って読んでもらうことができる。
しかしミステリーを読んだことない読者が、たまたま読んだとしたらどうだろう。
密室トリックがいかに難しいものかわかりやすく説明しなければならないし、伏線だと知らない読者には意味不明な表現に思えるかもしれない。
年代や性別、ジャンルによって読者を限定できないのは、主に部誌などの同人誌だ。
多様な作品が集まるところでは、多様な読者を想定しなければならない。
なお、読者を限定できる場合においても、当然、新規読者は想定しておくべきである。
まとめ
なぜ執筆するかという根本的な理由は、「書きたいから」というものの他に、「読んでほしいから」があると思う。
冒険のワクワク感を味わってほしい、恋愛のドキドキを感じてほしい……そうした他者へ影響させたいという思いがあるのではないだろうか。
で、あるならば、自分の作品を読んでほしい「読者」は常に想定しなければならない。
そして、どうしたら「読者」に自分の伝えたいことが伝わるか気を配ることが大切である。