「褒める」って大事
まずは「褒める」
私は学生である。
そして、文芸創作ゼミに所属して、現在卒業制作に取り組んでいる真っ最中でもある。
昨日のゼミで、一人が言った。
「まずは褒めなきゃ!」
……というのも、あるゼミ生――その人はAとしよう。上のことを言ったのはBだ。
Aはファンタジーを書いているため、世界観の構築や人物が行動する理由など、決めなければならないことが多い。
で、あるにもかかわらずAの中でもあまりまとまっていないようで、毎度ゼミで議論が紛糾する。
他の人に比べて本文の進みもよろしくない状態だ。
先週、設定は不透明なものの、ようやく腰を据えて執筆し始めたところである。
そこで昨日、Aが不在の中、Bが上のことを言った。
「まずは褒めなきゃ! あれこれ突っ込んでばかりだと、『せっかく書いてきたのに』ってなっちゃうよ」
つまり、設定の不透明さはさておき、本文を書き進めてきたことを評価し、それから議論に持ち込むべきだというのである。
なるほど、ごもっとも。
というわけで、今日は「褒める」ことがなぜ大事なのか、お話ししよう。
なぜ「褒める」のか?
私は、「モチベーションの維持・向上」のためであると思う。
創作活動が好きなら、誰に言われなくともやる。それは確かだ。
しかし、投稿サイト(「小説家になろう」や「Pixiv」など)で評価されると嬉しくなり、「続きを書こう」「また描こう」と思えるのではないだろうか?
もちろん、褒められるだけではなく意見を頂戴することもあるだろう。
例えば、コメントをもらった時に次の2つのどちらが嬉しいだろうか。
「○○は詳しく書かれていて想像しやすかったです。でも、□□はちょっとわかりにくかったです」
「□□がちょっとわかりにくかったです」
おそらく、多くの人は上の方が嬉しいコメントであろう。
人間というのは、否定的な意見より、肯定的な意見の方を受け入れがちだ。
否定的な意見を伝える時には、肯定的な意見でワンクッション置く方がモチベーションの維持・向上につながりやすいのである。
なぜモチベーションを維持・向上させるのか?
結論から言えば、「結果」を出すためである。
ビジネスでは「過程」はどうあれ「結果」を出すことがすべてとされ、「結果」が評価される。
「過程」は評価する側とされる側の双方で見え方が異なり、評価しにくいものである。
「結果」は是か非か、あるいは明確な数値で示されるため、客観的に見ても異ならず、評価しやすいものである。
しかし、そうとわかっていても、できることなら「過程」の頑張りも評価してもらいたい。
「頑張ってるな」と声をかけられれば、嬉しいからさらに頑張ろうと思える。
――つまり、そこなのである。
「過程」において褒めることで、褒められた側はモチベーションが維持・向上され、「結果」を出す。
褒めた場合は、褒めなかった場合よりも「良い結果」になる可能性があるのだ。
「モチベーションで『結果』が変わるようではいけない」
確かにもっともだ。
しかし、私たちは人間だ。ロボットではない。感情がある。
いくら気にしないようにしても、感情は行動に少なからず影響を与えている。
少しでも良い影響になるように、「褒める」ことが重要なのである。
まとめ
話を頭に戻そう。
Aの場合の「結果」とはなんであるか?
卒業制作なのだから、完成させて、卒業することである。
完成させるためには、少しずつでも書き進めなければならない。
つまり、Aが本文を書き進められるだけのモチベーションを維持・向上させるために、褒めなければならない。
無論、手放しで褒めるということではない。
執筆すればその分を褒め、しなければ叱咤しなければならない。
建設的な意見をすることも重要である。
しかし人として、まずはその人を認めて、褒めることが大事なのではないだろうか。